一人暮らしを始めると、毎日風呂に入る必要性が感じられなくなるかもしれません。
「面倒だし、シャワーだけで済ませよう」と考えることもあるでしょう。
実家では母がよく風呂を用意してくれていましたが、自分で準備すると水道やガスの費用が気になります。
一人暮らしで浴槽を使わないことのメリットとデメリット、そして浴槽を使わない人々の割合について考えてみましょう。
この記事では、一人暮らし歴20年以上の筆者が、お風呂に入らない生活の実態について解説します。
「風呂に入らない」とは、湯船にお湯を張って温まることなく(浴槽を使用しないで)、生活することを意味していまそ。
一人暮らしでの入浴省略の6つの利点
一人暮らしで入浴を省略すると得られるメリットを次のようにまとめました。
時間の節約
浴槽の掃除不要
風呂用洗剤の節約
狭い空間での滞在時間が短くなる
お湯を捨てる際の罪悪感の軽減
これらのメリットについて、詳しく解説していきます。
水道料金とガス料金の節約
浴槽にお湯を溜めずに済ませることで、最大の経済的利益が得られます。お風呂にかかる主要なコストは、水道とガスの料金です。これらの費用は、浴槽を使用しない場合に大きく削減できます。
風呂に入る場合とシャワーのみで済ませる場合のコスト比較は以下の通りです。
入浴方法 1回あたりのコスト(水道+ガス)
風呂(湯船を満たす) 約130円
シャワー(5分) 約45円
シャワー(10分) 約90円
シャワー(15分) 約135円
都市ガスとプロパンガスでは料金が異なり、都市ガスの方が安価でプロパンガスは高額です。地方で都市ガスが引かれていない場合は、高いプロパンガスを使用することになり、コストはさらに上がります。
200リットルの湯船にお湯を張ると約130円かかりますが、シャワーを15分使用すると約135円になります。そのため、シャワー使用時間を15分以内に抑えれば、湯船にお湯を張る方がコスト的に有利になる場合もあります。
浴槽とシャワーのコスト比較
普段、湯船にお湯を張っても、実際にはシャワーを使用して身体や髪を洗うことが多いです。そのため、湯船にお湯を張るだけでも追加のコストが発生します。
毎日湯船にお湯を張る場合、1ヶ月で約4,030円、1年間で約48,360円の追加出費がかかります。対して、毎日10分間シャワーを使うと、1年間で約33,480円です。
このため、湯船にお湯を張る場合と10分間シャワーを使う場合の年間コストの差額は約14,880円です。この計算によると、シャワーのみの利用で年間約15,000円の節約が可能です。
入浴をスキップすることで時間を節約
湯船にお湯を張る習慣をやめることで、時間の節約にもつながります。
お風呂に入る際にかかる時間は以下の通りです。
お湯を張る時間:15分~20分
湯船に浸かる時間:5分~30分(個人差あり)
体や髪を洗う時間:5分~10分
これらを合計すると、おおよそ40分が必要です。
一方で、シャワーのみの場合、入浴の準備に時間を要せず、10分~15分で済ませることができます。
この時間差は約25分。これを毎日続けると、年間でどれだけの時間節約になるか見てみましょう。
1ヶ月あたり:約13時間
1年間あたり:約156時間
毎日お風呂に入ると、1年で156時間もの時間を消費することになりますが、シャワーのみで済ませた場合、その時間を全て節約できます。
もし時給900円で156時間働いた場合、約14万円を稼ぐことができますし、2時間の映画を78本も楽しむことができるほどの時間です。
浴槽が汚れず掃除の手間が省ける
お風呂に入らず浴槽を使用しない生活をすると、浴槽の汚れに悩まされることがなくなり、その分掃除の必要がありません。
もちろん、浴室の壁や床は汚れますから定期的な掃除は必要ですが、浴槽自体は洗う必要がなくなります。これにより、掃除の時間が大幅に短縮されます。
浴槽を洗うのはかなりの重労働ですから、これから解放されるのは大きなメリットと言えるでしょう。
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風呂用洗剤の使用が大幅に減少
湯船に浸からなければ、当然浴槽は汚れません。その結果、風呂用洗剤の消費も大幅に減ります。私自身シャワー派なので経験がありますが、風呂用洗剤は年に1回購入するだけで十分です。
ただし、湯船を使わない場合でも壁や床にカビが生えることはあるため、その点での洗剤消費は変わりません。
狭い浴室での滞在時間が短縮
一人暮らしの部屋には、しばしば狭いユニットバスが設置されています。私が以前住んでいたアパートもそうで、浴槽と洋式トイレがぎゅっと詰め込まれた非常に狭い空間でした。
そんな環境でゆっくり湯船に浸かることは、本当にリラックスできるわけではありません。特に閉所恐怖症の方にとっては辛いものがあります。
お湯を無駄にせず罪悪感を感じない
通常サイズの湯船に200リットルのお湯を張ると、一人で入ってもお湯はほとんど汚れません。多くの場合、洗髪はシャワーで行うため、湯船のお湯の減少も少ないです。
このように清潔なままのお湯を捨てるのは、一人暮らしでは特にもったいなく感じます。家族がいれば複数の人が使うため無駄にはなりませんが、一人暮らしでは大きな無駄となってしまいます。
シャワーだけで済ませれば、このような水のロスを防ぐことができ、環境にも優しい選択となります。
一人暮らしでお風呂を使わない場合の3つのデメリット
一人暮らしではシャワーだけで済ませることの利点がよく話題になりますが、そのデメリットも見過ごせません。主なデメリットは以下の三つです。
疲労回復が不十分
免疫力の低下
冷えが厳しい
これらの問題点について、数値で示すことは難しいですが、実際にシャワーのみで済ませた経験から感じる不便さは確かに存在します。
疲労回復が不十分
湯船に浸かることは、身体を清潔に保つだけでなく、「疲れを取る」という大きな効果があります。忙しい一日の疲れを温泉で癒すことを望むのはそのためです。
シャワーだけでは確かに身体は綺麗になりますが、深い疲労感はなかなか解消されません。湯船に浸かると血流が良くなり、疲労物質が排出されやすくなり、筋肉の緊張も和らぎます。その結果、疲労が効率的に取れるのです。
免疫力の低下
体温が1度下がると、免疫力は30%も低下するとされています。特に冬場は体温が下がりやすく、それが免疫力の低下に直結することがあります。
じっくりと温かいお風呂に浸かることで体温を上げ、それによって免疫力も高まります。さらに、体が温まることで質の良い睡眠が得られ、疲労回復にも寄与します。
冬の冷え対策
夏は問題ないかもしれませんが、冬はシャワーのみの生活が特に辛くなります。特に古い住宅では温水が出るまでに時間がかかり、その間に体が冷えてしまうこともあります。
湯船に浸からずに冬を過ごすと、体温が低下し風邪を引きやすくなるなど、さまざまなデメリットが発生します。このため、冬場は特に湯船に浸かることの重要性が増します。
一人暮らしのお風呂事情:入浴習慣の有無の比率
一人暮らしをする人たちの中で、どれくらいの割合でお風呂に入る習慣があるのでしょうか?ある不動産情報サイトが「定期的にお風呂に入るか?」というテーマでアンケートを実施しました。
その結果、定期的に湯船に浸かる人は約60%、残りの40%以上が湯船に浸からずシャワーのみで過ごしているということがわかりました。若い層では特にシャワーのみを選ぶ人が多い傾向にあります。
お風呂を避ける理由
お風呂に入らない、特に湯船に浸からない人たちの理由は様々です。主な理由としては以下の通りです。
お湯を溜めるのが手間だと考えるため
シャワーの方が経済的であるため
ジムでの入浴で十分と考えるため
一人暮らしでお湯を節約したいため
追い焚き機能の不便さ
時々のスーパー銭湯で充分と感じるため
お湯が冷めるのが早く、追い焚きができないため
主に手間やコストを理由にお風呂を避ける人が多いです。
お風呂に入る人の理由
一方で、忙しい中でもお湯を張ってお風呂に入る人たちの理由は以下の通りです。
入浴剤を使ってリラックスしたい
半身浴の健康効果を求めている
お風呂の中で読書を楽しむため
お湯に浸かることで疲れが取れると感じるため
寒さ対策として
良い睡眠を得るため
シャワーだけでは不十分と感じるため
これらの理由から、お風呂に入ることを好む人たちは温浴の効果を高く評価しています。
異なる入浴方法のコスト比較
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多くの人がお風呂の使用を控える理由は、かかるガス代と水道代のコストです。特に経済的な観点から湯船を使用しない選択をする人が多いです。
しかし、湯船に入りたい場合は、前日の残り湯を温めるという選択肢もあります。この方法は追い炊き機能がある浴槽で可能です。
以下に、三つの異なる入浴スタイルのコストを比較します。
新たにお湯を張る
残りのお湯を追い炊きして使用
各入浴方法のコストは以下の通りです。
新たにお湯を張る場合: 約130円
残りのお湯を追い炊きする場合: 約100円
シャワー(10分間): 約90円
前日に使ったお湯を追い炊きする場合は、水道代がかからず、ガス代のみで済みます。この方法は、新たにお湯を張るよりも約30円節約できます。節約額は小さいですが、毎回新しいお湯を使うよりもコストが抑えられます。
それでも、シャワーのみの方法が最もコストが低く、最も経済的な選択であることが分かります。
一人暮らしのための風呂の節約術6つ
湯船に浸かることで完全にリラックスできると感じる人は少なくありませんが、コストが気になることも事実です。そんな方々に向けて、お風呂を楽しみつつ節約する方法を以下に紹介します。
浴槽の水の量を減らす
節水型シャワーヘッドを使う
保温シートで熱を保つ
お湯を何度も利用する
シャワーを使わずに浴槽の湯で体を洗う
定期的に銭湯を利用する
浴槽の水の量を減らす
ゆったりとした湯船に浸かるのは魅力的ですが、そのために必要なお湯の量はコストを増大させます。お湯を少なめにして半身浴にすることで、水道代とガス代の節約につながります。
節水型シャワーヘッドを使う
髪を洗うときはシャワーが欠かせませんが、節水型シャワーヘッドの使用により、水道代を大幅に削減できます。このシャワーヘッドは取り付けも簡単で、水の流れを効率よく制限します。
保温シートで熱を保つ
お湯を溜めてすぐに入浴しない場合、お湯が冷めてしまうとエネルギーが無駄になります。「お風呂保温シート」を使えば、溜めたお湯の熱が逃げるのを防ぎ、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。このシートを浴槽に浮かべるだけで、お湯の温度を長時間保つことができます。
お湯を再利用することでコスト削減
湯船にお湯を張る際、毎回新たにお湯を使う人と、お湯を再加熱して複数回使用する人がいます。前者を「新水派」、後者を「追い焚き派」と呼びましょう。どちらがより経済的かというと、追い焚き派の方がコストを抑えられます。特に頻繁にお風呂に入る場合は、お湯を一度は再利用することが推奨されます。新水派は清潔さを優先しますが、コスト面では劣ります。
浴槽のお湯で体を洗う
毎回新しいお湯を使いたいと考える人は、洗髪や体を洗う際にシャワーを使わずに、すでに湯船にあるお湯を使用する方法が節約につながります。これにより、無駄なお湯の使用を減らし、水道代を節約できます。
シャワーのみで済ませて定期的に銭湯を利用
毎日のお風呂でお湯を新たに張るのはコストがかかるため、普段はシャワーのみで済ませ、月に数回の銭湯を楽しむ方法もあります。ただし、スーパー銭湯のような高価な施設は避け、より経済的な地元の銭湯を選ぶことがポイントです。東京都内でも安価な銭湯は多く存在し、通常の入浴料で済ませることができます。
一人暮らしでも楽しめるバスタイムの3つのアイディア
お風呂を敬遠する主な理由が面倒だと感じることにあるかもしれません。しかし、少しのアイディアで一人暮らしのお風呂時間を特別なものに変えることができます。以下に、楽しいバスタイムのための方法を紹介します。
防水スマホやタブレットを活用する
多彩な入浴剤を試す
高級ヘアケア製品を使う
防水スマホやタブレットを活用する
お風呂で長時間過ごすのが苦手な方でも、防水加工されたスマホやタブレットを使えば、時間が快適に過ごせます。防水ケースを使用すれば、バスタブの中でYouTubeで動画を観たり、SNSをチェックしたり、電子書籍で読書を楽しむことが可能です。
多彩な入浴剤を試す
もしバスタイムが単調で退屈だと感じているなら、様々な入浴剤を使用してみることで変化を楽しむことができます。各地の特産入浴剤やリラクゼーション効果が期待できるバスソルトを試して、自宅のお風呂をスパのようにするのも良いでしょう。
高級ヘアケア製品を使う
通常はコストを考慮しているかもしれませんが、時には高級サロンで使われているシャンプーやコンディショナーを使うことで、お風呂の時間を贅沢なものにしましょう。週に一度の豪華なバスタイムを設けることで、次のバスタイムが待ち遠しくなるはずです。高級ボディソープや石鹸の使用もおすすめです。
【最適なバスタイム】平日はシャワー、週末に湯船でのんびり
私たちはしばしば全てを二者択一で考えがちですが、日常生活においてはバランスが重要です。
特にお風呂の習慣についても、必ずしも「毎日入る」または「入らない」と決める必要はありません。シャワーの手軽さと湯船のリラックス効果、双方のメリットを活かす方法があります。
私の場合、一人暮らしを20年以上経験してきた中で、平日は効率的にシャワーを使用し、週末には時間をかけて湯船に浸かる習慣が身についています。これにより、ともに時間とコストを効率良く管理しています。
湯船使用の減少が水質問題に?
最近、特に若年層の間で湯船を使わない傾向が見られます。その主な理由は、一人暮らしの光熱費の節約や、忙しい生活からくる時間の制約です。
このような習慣が意外な問題を引き起こしていることが指摘されています。お風呂に入る人の減少により、水の消費量が減少し、結果として水道管内の水の滞留時間が長くなり、水質が悪化するという問題が発生しています。このため、一部地域では逆に「もっと水を使うように」というキャンペーンが行われています。
まとめ
一人暮らしでのお風呂習慣には明確なメリットがありますが、そのデメリットも無視できません。少なくとも週末には湯船にゆっくり浸かることで、それらのデメリットを軽減できることがお勧めされています。