もみじと言えば、多くの人が「鮮やかな赤い葉」と「秋の風情」を思い浮かべるでしょう。
ところが、もみじの葉が一年中赤いというわけではありません。この事実を知る人は少ないかもしれません。
実は、もみじの葉は四季を通じてさまざまな色へと変化します。
秋以外の季節にも美しいもみじを楽しむことができるのですが、これを知っている人はそれほど多くありません。
この記事では、もみじの葉がどうして緑色の時期があるのか、そしてなぜ赤色に変わるのかを詳しくご紹介しますね。
いつもみじの葉は緑色を呈するのか？
「もみじと言えば赤い葉」というのが一般的なイメージですが、もみじが緑色の葉を持つ時期が実は存在します。
この緑の時期は、春の後半から夏にかけての間に見られます。
この間、もみじは活発に光合成を行い、その結果、葉が鮮やかな緑色に見えます。
この時期は、木が成長するために必要な栄養素やエネルギーを蓄積している非常に重要な時期です。
そして、この緑色の葉は、季節が進むにつれて秋に向かって徐々に美しい紅葉に変わっていきます。
もみじの葉が緑から赤に変わる理由
もみじの葉が緑色の期間についていろいろ気になるところですが、秋になるとなぜこれらの葉が赤色に変わるのでしょうか？
この鮮やかな色変わりは、葉内の色素成分の変化によるものです。
春から夏にかけて、太陽の光が強いとき、葉は葉緑素（クロロフィル）を多く含んでおり、これが葉を緑色に見せています。
しかし、秋に入ると日照時間が短くなり、葉緑素の分解が始まります。
同時に、アントシアンという赤色の色素が増え始め、これが葉を赤く染める主要因となります。
この過程によって、もみじの葉は緑から赤へと変わり、美しい紅葉が形成されます。
紅葉は、秋が深まるにつれてその色を強め、赤い葉が目を引く景色を作り出します。
もみじが黄色くなる季節
一般的に「もみじ」と聞くと赤い葉が思い浮かぶかもしれませんが、もみじの葉は黄色に変わることもあります。
この黄色に色づく現象は、葉の中の色素が変化することによって起こります。
以前、葉を赤くするアントシアン色素について説明しましたが、秋になると葉緑素が減少し、カロテノイドという黄色の色素が強く表れ始めます。
このカロテノイド色素の増加が、もみじの葉を鮮やかな黄色に染め上げる原因となります。
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もみじの種類別紅葉の色の違い
もみじは種によって紅葉の色が大きく異なります。アントシアン色素が豊富なもみじは赤くなり、カロテノイドが豊富なものは黄色に色づくことが一般的です。ここでは、特に代表的な三つのもみじの種類とそれぞれの紅葉の特徴について紹介します。
イロハモミジの美しい赤色
イロハモミジは日本全国でよく見られるもみじの一種で、「いろはにほへと」というフレーズから名付けられたことで知られています。この木の小さくてギザギザした葉は、秋には鮮やかな赤色に美しく変わります。
オオモミジのカラフルな紅葉
オオモミジは大きな葉を特徴とし、イロハモミジの変種とされています。このもみじは、その細かいギザギザが特徴的で、紅葉時には黄色や紫色に色づくことがあります。
ヤマモミジの多彩な紅葉
ヤマモミジは、特に日本海側でよく見られるもみじで、大きなギザギザした葉が印象的です。イロハモミジの亜種であるこのもみじは、紅葉期には黄色や赤色に色づくことで知られています。
青楓（あおかえで）の魅力とは？緑のもみじについて
青楓は、緑色の葉を持つもみじのことを指します。
「青楓」という言葉は、実は造語であり、俳句や短歌など、日本の伝統文学で季語として使われることが多いです。特に、6月の新緑が美しい時期を表すために用いられます。
京都にある東福寺は、紅葉で有名な観光地ですが、初夏には別の美しさがあります。この時期、約2,000本の青もみじが訪れる人々を迎え、紅葉シーズンよりも人出が少なく、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
もみじや紅葉が秋の象徴とされがちですが、初夏の東福寺では、青楓を通じて豊かな緑を静かに楽しむことができます。
もみじとカエデ、実は何が違うの？
もみじとカエデという言葉がしばしば混同されることがありますが、これらはどちらもカエデ科カエデ属の植物を指します。カエデは一般にカエデ科に属する植物全体を表す言葉で、その中にはもみじも含まれます。つまり、もみじはカエデの一種ということになります。
まとめと見どころ紹介
この記事では、もみじのさまざまな種類とその見事な紅葉に焦点を当ててきました。もみじは春から夏にかけて緑の葉が美しく、多くの人が秋の「紅葉」や「赤い葉」というイメージを持っていますが、実は緑の葉も非常に魅力的です。特に、緑のもみじを楽しむのにおすすめの場所は、京都にある東福寺です。初夏にこの場所を訪れると、もみじのもう一つの魅力、青もみじをゆっくりと堪能することができます。この美しいスポットで、もみじのさまざまな姿を楽しんでみてはいかがでしょうか。
