冬になると庭先に現れる愛らしいメジロ。つい餌をあげたくなりますが、「メジロの餌付けは禁止」と聞いて迷う人も多いのではないでしょうか。
実は、メジロの飼育や捕獲は法律で厳しく制限されていますが、短期間・適切な方法で行う餌付けは必ずしも違法ではありません。
この記事では、メジロの餌付けが禁止とされる理由、合法的に観察を楽しむ方法、そして自然と共生するためのマナーをわかりやすく解説します。
「かわいいからあげたい」その気持ちを、自然を壊さない形で叶えるために、今できる正しい餌付けの方法を一緒に見ていきましょう。
メジロの餌付けは本当に禁止されている?法律上の正しい理解

メジロの餌付けが「禁止」と言われることがありますが、実際には飼育や捕獲の禁止と混同されているケースが多いです。
ここでは、メジロの扱いに関する法律をわかりやすく整理していきます。
なぜメジロの飼育や捕獲は禁止されているのか
メジロは日本の「鳥獣保護管理法」で保護対象とされています。
この法律では、野鳥を捕獲・飼育することが原則禁止と定められています。
かつては「鳴き合わせ会」と呼ばれる文化があり、鳴き声を競うためにメジロが乱獲されていた時代もありました。
しかし乱獲による生態系の乱れや密猟が問題となり、2012年以降は一般人による飼育は完全に禁止されています。
つまり、メジロをペットとして飼うことは法律で禁止されているということです。
| 行為 | 法律上の扱い |
|---|---|
| 野生のメジロを捕まえる | 禁止(1年以下の懲役または100万円以下の罰金) |
| 捕まえたメジロを飼育・販売 | 禁止(6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金) |
| 庭で野生のメジロに餌を与える | 原則として問題なし(※後述の注意点あり) |
餌付けと飼育の違いをわかりやすく解説
餌付けとは、野生のままのメジロに一時的に餌を与える行為のことです。
一方で飼育とは、捕獲して鳥かごの中などで人の管理下に置く行為を指します。
つまり、メジロを自由に飛び立たせる状態で観察する限りは「餌付け」であり、法律上の飼育にはあたりません。
ただし、継続的に餌を与え続けて依存させるような行為は「半飼育」とみなされる恐れがあります。
違法行為と合法行為の境界線とは
野鳥保護の観点から、許されるのは「自然観察の一環としての短期間の餌付け」です。
長期間にわたり、常に餌を供給する行為は、自然の摂理を乱すおそれがあり推奨されません。
庭でメジロを見たい場合は、冬〜春の期間限定で餌を置くのが安全です。
「捕まえない・閉じ込めない・無理に慣らさない」この3つを守れば、餌付けは合法の範囲で楽しめます。
| 合法 | 違法の可能性がある |
|---|---|
| 冬の間だけ庭にミカンを置く | 年間を通して餌を与え続ける |
| 自然に来るメジロを観察する | 捕まえてケージで飼う |
| 一時的な餌やり | 巣作りを促すような固定的環境づくり |
メジロの餌付けを行う前に知っておきたい注意点

餌付けは自然と触れ合う素敵な行為ですが、やり方を誤るとメジロや周囲の環境に悪影響を与えることもあります。
ここでは、餌付けをする際に守るべきマナーや注意点を整理します。
やりすぎると逆効果?自然破壊を防ぐためのマナー
餌を与えすぎると、メジロが自力で餌を探す力を失ってしまうことがあります。
また、他の野鳥との生態バランスが崩れる可能性もあるため、餌付けは冬季限定・少量が原則です。
与える餌は果物や砂糖水など自然由来のものに限定し、加工食品や人工甘味料は避けましょう。
自然のリズムに合わせて、控えめに観察するのが最も優しい餌付けの形です。
| 良い餌付け | 避けるべき餌付け |
|---|---|
| 冬だけ果物を少量設置 | 一年中餌を与え続ける |
| 自然素材の餌のみ使用 | パンくずや加工品を使用 |
| 短時間観察のみ | 触れたり慣らそうとする |
近隣トラブルを避けるためのポイント
餌付けをしていると、ヒヨドリやスズメなど他の鳥も集まることがあります。
糞害や鳴き声が原因で近隣とトラブルになるケースもあるため、餌を置く場所は慎重に選びましょう。
住宅密集地ではベランダよりも庭や木陰など、近隣から見えにくい場所が望ましいです。
餌付けは「自然観察」であり、近所迷惑にならない配慮もマナーの一部と考えましょう。
自治体や環境省の公式見解
環境省は「野生動物への過度な餌付けは生態系を乱す恐れがある」として注意を呼びかけています。
特に都市部では、カラスやハトの増加を招く恐れがあるため、個人での大規模な餌付けは推奨されていません。
自治体によっては「野鳥への給餌自粛」を求めるガイドラインを設けている地域もあります。
メジロだけでなく他の動物にも影響を与えることを意識することが大切です。
ルールを理解したうえで、自然に寄り添う形で餌付けを楽しみましょう。
| 地域 | 餌付けに関する方針 |
|---|---|
| 東京都 | 野生動物への餌付けは控えるよう呼びかけ |
| 大阪府 | 野鳥への給餌は原則自粛を推奨 |
| 北海道 | 冬季限定での餌付けは容認されるケースあり |
庭でできる合法的なメジロの観察・餌付け方法

「法律に触れずに、庭でメジロを観察したい」という人は多いですよね。
ここでは、自然を壊さずにメジロを間近で楽しむための、合法的でやさしい餌付け方法を紹介します。
餌付けのベストシーズンとタイミング
メジロは普段、山や林で暮らしています。
しかし、冬になると餌が少なくなるため、12月〜4月頃にかけて人里まで下りてくることが多くなります。
餌付けをするなら、冬〜春の期間限定で行うのが自然にやさしい方法です。
気温が上がって花の蜜が増える季節になると、自然と山へ帰っていくので、その頃には餌を片付けましょう。
| 季節 | 餌付けの可否 |
|---|---|
| 12月〜4月 | ◎(メジロが平地に下りる時期) |
| 5月〜11月 | ×(自然の餌が豊富なため不要) |
おすすめの餌(ミカン・砂糖水・花の蜜など)
メジロは甘いものが大好きです。
自然界では花の蜜や果物の汁を主に食べています。
そのため、餌付けにはミカンの輪切りや砂糖水が最適です。
砂糖水を作る場合は、水100mlに対して砂糖を大さじ1程度に薄め、濃すぎないように注意しましょう。
はちみつや人工甘味料は使用NGです。メジロの体に負担をかけてしまう可能性があります。
また、市販の「メジロ用ゼリー」もありますが、添加物が少ない自然素材のものを選ぶと安心です。
| 餌の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ミカンの輪切り | 最も人気。手軽で安全。 |
| 砂糖水(薄め) | 花の蜜に近く、寒い時期におすすめ。 |
| りんごや柿 | ミカンの代用にもなる自然の甘味。 |
ヒヨドリ対策もできる設置の工夫
メジロより大きなヒヨドリは、餌を横取りしてしまうことがあります。
そこでおすすめなのが「揺れる枝先に餌を設置する方法」です。
細い枝先にミカンを刺しておくと、体の大きいヒヨドリは止まりにくく、メジロだけが餌を食べに来られます。
また、プラスチックケースに小さな穴を開け、メジロだけが入れるようにするのも有効です。
「ヒヨドリを遠ざけ、メジロを呼ぶ」設置の工夫が成功の鍵です。
| 設置方法 | 効果 |
|---|---|
| 細い枝先にミカンを刺す | ヒヨドリが止まれず、メジロだけ来る |
| 小穴付きのケースで囲う | メジロ専用の餌場を作れる |
| 高めの位置に設置 | 人や猫からも安全 |
負傷したメジロを見つけたときの正しい対応

もし庭や道端でケガをしたメジロを見つけたら、つい助けてあげたくなりますよね。
でも、野生動物にむやみに触れることは、逆に命を縮めてしまうことがあります。
ここでは、正しい「保護の判断」と「行動の流れ」を紹介します。
保護が必要かどうかの見極め方
まずは本当に人間の助けが必要かを判断することが大切です。
メジロのヒナは、巣立ち直後に地面に降りて練習していることがあり、実はケガではない場合も多いです。
羽をばたつかせて動いている、鳴いているようであれば、親鳥が近くで見守っている可能性が高いです。
「かわいそう」と思って連れ帰るのは、違法飼育につながる危険行為です。
| 状態 | 対応方法 |
|---|---|
| 羽ばたける・鳴いている | そのまま見守る(親鳥が近くにいる) |
| 明らかに出血・骨折している | 自治体に連絡(個人では触らない) |
| 巣ごと落ちている | 可能なら近くの木に戻す |
自治体や保護施設に連絡する手順
もし明らかに人為的な原因(車にぶつかった、釣り糸に絡まったなど)で負傷している場合は、自治体や野生動物保護施設へ連絡しましょう。
多くの自治体には「鳥獣保護担当課」があり、対応してくれます。
捕獲して自宅で看病することは避け、専門家に任せるのが原則です。
野生に戻る可能性を高めるためにも、人の手を加えすぎないことが大切です。
| 連絡先 | 対応内容 |
|---|---|
| 市区町村役場(鳥獣保護担当) | 保護の可否判断・専門施設紹介 |
| 都道府県の自然保護課 | 野生動物の対応ガイドラインの提供 |
| 動物保護センター | 治療・一時保護 |
また、保護中のメジロをSNSに投稿するのも避けましょう。
「違法飼育」と誤解されるだけでなく、位置情報から密猟の標的になる危険もあります。
保護は静かに、正しい方法で行うことが何よりも重要です。
まとめ|メジロとの共生を楽しむためにできること

ここまで見てきたように、メジロの餌付けや観察にはいくつかのルールと注意点があります。
ですが、自然を尊重しながら正しい方法を守れば、私たちの暮らしの中でメジロと優しく共存することができます。
まず大前提として、日本の野生のメジロを飼育することは法律で禁止されています。
メジロを捕まえたり、家で飼うことは絶対にしてはいけません。
一方で、冬の寒い時期に一時的に餌を与えて観察することは、自然に負担をかけない範囲であれば問題ありません。
| 行為 | 可否 | ポイント |
|---|---|---|
| 冬にミカンを庭に置く | ◎ | 自然に寄り添った餌付け方法 |
| 通年で餌を与える | × | 自然のバランスを崩す |
| 捕獲・飼育する | × | 鳥獣保護管理法で禁止 |
また、餌付けを行うときは、「量」「期間」「場所」の3点を常に意識して行うことが大切です。
餌は少量を短期間だけ、近隣に迷惑をかけない場所で設置するのが理想です。
自然と調和した形で観察を楽しむことが、メジロへの最大の思いやりになります。
そして、もし負傷したメジロを見つけても、焦って手を出さず、まずは自治体や専門機関に相談しましょう。
自然界の中での命の循環を理解し、必要なサポートだけを行うことが、人と野鳥が共に生きる最良の形です。
メジロのさえずりは、季節の移ろいを感じさせる贈り物のようなものです。
庭にミカンをそっと置いて、静かにその姿を眺める時間を持つ——。
そんな穏やかな関わり方こそが、これからの「メジロとの共生」の第一歩ではないでしょうか。

